はじめに
前回の記事で、
- ラズパイ4じゃないとumbrelはまともに動かない
- SSDじゃないとブロックチェーンの同期時間が何倍にも増える
- 光回線じゃないとブロックチェーンの同期時間が何倍にも増える
私は当初初期投資ゼロでumbrelの運用開始を目論んでいましたから、余っていたラズパイ3+HDD+楽天アンリミットの回線で初期セットアップをがんばっていました。
結局諦めて機材を購入することとなったのですが、気持ち悪かったので誰もが思いつきそうな「ブロックチェーンの移植」を行うことで、これら機材の新規購入がどこまで省略できるのか考察したいと思います。
結論
最初に結論を書いてしまいます。
umbrelで初めてフルノード運営を始める人の場合、ブロックチェーンの移植にあまり意味はない
ものと思います。たぶんね。
以下は理由です。
ブロックチェーンの移植とは
ビットコイン(以下BTC)のブロックチェーンは公式?ソフトであるbitcoincore(通称コア、bitcoindと呼ばれることもある)を使用することでインターネット上のどこかの誰かから融通してもらえます。
ブロックチェーンはその性質上、ダウンロード後にその内容が正しいかどうかの「検証」と誤っていた場合の「補正」が行われますので、ブロックチェーンの同期中はお使いのコンピュータに結構な負荷がかかります。
LightningNetworkノードを運営するにはこの作業を省略できないため、この記事を書いている現在で400GBくらいあるブロックチェーン全体をダウンロードし、「検証」と「補正」を行う必要があるのです。
この作業を初期ブロックダウンロード(Initial Block Download、以下IBD)と呼びます。
ラズパイ4でumbrelOSを使用する場合、IBDとして、
- どこかの誰かとP2P接続(サーバを介さずにコンピュータ同士が直接接続すること)する
- ブロックチェーンの一部をP2P接続した相手から複写させてもらう
- 複写させてもらったブロックチェーンの内容に誤りがないか、自分のラズパイが検証し、補正する
- 2に戻る。(適宜1の接続先は増えたり減ったりする)
このうち、2の作業にはまともなインターネット回線(数Mbps)が必要ですし、3の作業にはまともなラズパイ(メモリ2GB以上=ラズパイ3以前のモデルはダメ)と外付けSSDが推奨されます。
ブロックチェーンの検証作業中はストレージへの読み書きが頻繁に行われますので、ストレージ性能は2と3に大きく影響します。
この時SSDでなくHDDを使用すると作業時間が伸びてしまうのです。
また、搭載メモリ量が少ないとスワップと呼ばれるメモリへの読み書きに見せかけたストレージへの読み書きが発生します。
当然これもIBD完了までに時間が延びる要因になります。
計算能力、ストレージ性能、回線速度のどれか一つ足を引っ張るだけでIBD完了までの時間は大きく遅れていきます。
(2021/11/22追記)
自分は結局外付けHDDで同期をやりきりましたので、まともな環境なら48~60時間くらいかかる同期作業が16-17日かかりました。
ラズパイ3でumbrelを動かしてみた経験から
私がpi3+HDD+1Mbpsの回線で挑戦した時は、日々ブロックチェーンが追加されていく速度(144ブロック/日)に追いつける気がしませんでした。たぶん追いつけません。つまり永遠に終わりません。
特に、pi3では本体の温度が上がり過ぎてわざと性能を低下させる安全機構が作動している様子でした。
これによってただでさえメモリが足りなくてスワップも発生しているのに更に計算能力まで低下していました。こんなのムリムリ。
つまり何が言いたいのかというと
ブロックチェーンの移植は
- ダウンロード時間の省略
- 検証時間の省略
を行えるため、確かに大幅な時間短縮が図れます。
ただし、意外と忘れがちなのが、
- ブロックチェーンを移植用のストレージに複写する時間
- 移植用ストレージからブロックチェーンを複写する時間
です。ネットワーク経由やUSB2.0経由であった場合、転送速度は10Mbps前後となりますので、400GBくらいの複写に片道11時間を超えます。往復約23時間です。
更に移植用ストレージの運送時間も考慮しましょう。
このような理由から、よほど悪い条件でIBDを行わない限り、移植によって短縮できる全体の作業時間はあまり大きくなさそう、ということなのです。
ネット上で見た、まともな環境でumbrelをセットアップしているであろう人達はブロックチェーンの同期に48時間くらいかかっているようです。
友人知人からブロックの複写をさせてもらうようなケースでは、この48時間が24時間くらいに短縮できる程度の効果しかないでしょう。
ブロックチェーンの移植に意味がある人を考える
次に、ブロックチェーンを移植することに意味があるケースを考えます。
回線が遅い場合
まず考えられるのが、回線が遅いケースです。
- ADSL
- MVMOのSIMをモバイルルータなどで運用している
このような人に安易に光回線を契約しなさいとは言いづらいのです。
私の場合光回線は月6000円くらいかかりますが、楽天アンリミットなら月3200円です。
家計大助かりです。以前はキャンペーン中で1年間無料だった時もありました。
こんなに使ってもゼロ円なのです |
家族全体のインターネット需要を満たせるうちは、この月間差額約3000円は失いたくないところなのです。ぐぬぬぬ。
単純に計算すると、400GBのブロックチェーンをダウンロードするのに、
- 常時1MbpsのDL速度で47日くらい
- 常時3MbpsのDL速度で12日くらい
です。もちろんこの間にトラブルが発生しないで、です。
このくらい長時間通信させていると、何かしら起こると思います。(遠い目)
また、安い回線は大体の場合3日で〇GB以上通信したら大幅に通信速度制限がかかるということも忘れてはなりません。通信速度が128kbpsとかになったら…もう計算したくありませんね。
このような環境の人はブロックチェーンの移植は大いに効果ありだと思います。
なお、移植後の検証作業は数分で終わります。IBDの苦しみを知っている人はこの瞬間にエクスタシーを感じてしまうことでしょう。みんなにも一度味わって欲しい(ニコッ
HDDを使いたい場合
余っているHDDを使いたい場合も有効かと思います。
ブロックチェーンを複写するのにSSDよりは時間がかかりますが、全体からみたら誤差かと思います。夕方から回しておいて朝起きたら終わっていることに変わりはありません。
移植後の検証作業時間に大きな影響もありません。ちゃんと絶頂に至れ(略
ただHDDの使用はumbrel公式には非推奨とされている行為なことは明記しておきます。
私はしてますけども。
回線が遅くてHDDも使いたい場合
私の場合です。
絶対にオススメです。お金払ってでもやるべき。
やらない時は約17日、やれば2日でIBD作業が完了できました。
ラズパイ4 2GBモデルを使用する場合
2021年10月現在ラズパイが人気で調達困難とのことです。
2GBモデルでなんとかしたい人がいるかもしれません。
メモリー2GBですと安定動作ギリギリのスペックですので、作業中にどこかの段階でスワップが発生するかもしれません。工程をすっとばせるので移植によるIBD作業の短縮は意味がありそうです。
ただ2GBモデルは長期運用には向からないと思いますので強くはすすめません。
予告
せっかく実験したので、次回はブロックチェーンの移植作業についてまとめたいと思います。
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